L.P.マトヴェーエフ氏をたずねて|ニュースレターNO.006


 

著者:伊藤 出パーソナルトレーナー / IDEALSTYLE代表

パーソナルトレーナー歴11年|元三笠宮寛仁親王殿下のパーソナルトレーナーであった魚住廣信名誉教授に師事|指導経歴:宝塚歌劇団員・三菱重工神戸野球部員・ボクシングミニマム級5位など|アスリートフードマイスター&元板前。

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9月にロシアに行き、マトヴェーエフ氏にお会いしPeriodization理論の変遷とトレーニング理論の変遷について話を伺ってきました。今回は、Periodization理論について、マトヴェーエフ氏の見解を紹介したいと思います。

 

ピリオダイゼーション理論について

まずPeriodization理論の中で、準備期、試合期、移行期の長さをどのようにして決定したのかという質問をしました。それについては、何千人もの選手の詳細にわたる練習・試合記録の分析から出てきたものであり、その調査も個人の数年間にわたるものであったといいます。

それで各期間について、例えば1年周期では、準備期が5~6ヶ月、試合期が4~5ヶ月、移行期が6週間と提示されていますが、これはあくまでひとつの指標であり、個人によって調整されるものであるといっておられます。同様に、準備期の中の一般的準備期と専門的準備期についても選手個人によってすべて調整されるものであり、明確に表示できるようなものではないといわれました。

それがトップを目指すアスリートのトレーニングなのであるとも。まさにその通りだと思います。我々はあまりにも、「何」を、「何回」、「どれだけ」というような具体的な数字を求めすぎているように思います。そんな魔法の定規はないということです。

提示された期間に従って、エクササイズをきっちりやれば誰でも同じ結果が得られることはありえないということです。それは理解できるはずです。

したがって、Periodizationの批判に関しても、Periodizationはトレーニング理論の中のトレーニング構築に関するひとつの局面(部分)でしかないということであり、その中にある準備期、試合期、移行期のサイクルは変化しないものであり、その期間はコーチが調整するコーチの技量が求められる部分であるといわれました。その期間を決定することは、1つに1年周期にするのか、半年周期にするのかというところから始まります。

結局は、コーチがどれだけその競技・種目について理解できているか、また適応に関して理解できているかが基本となり、後は選手個人の特質というか、身体的、精神的、栄養、生活環境などに関してどれだけ詳細なデータを持つかによって適切な各段階の期間を設定することができるということなのです。まさしくトレーニング・練習・試合を計画するためのプロが必要になるということです。

 

スポーツフォームについて

特にポイントは、スポーツ・フォーム(ベストコンディション)と呼ばれる最高のコンディションの状態をつくり上げ、それを段階的にレベルアップさせることにあり、一時期、一時だけよい記録が出ても、それはスポーツ・フォームを作り上げたことにはならないのです。

継続し、1年単位で段階的な発達を見せることなのです。マトヴェーエフ氏は個人記録の1.5%の上昇がないと、完全なスポーツ・フォームができたとはいえないといわれました。それ以下の達成であれば、当然やるべきことは、データとプランニングの見直しなのです。

Periodizationについて、モヤモヤしたものがありましたが、これですっきりしました。選手個人のデータ分析と段階的なプランニングにあるということであり、そうすることによって選手が将来に出せる記録が予測できるようになります。指導者としてパーフェクトな理解が必要です。

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