シドニーオリンピック観戦記-その1|ニュースレターNO.007


 

著者:伊藤 出パーソナルトレーナー / IDEALSTYLE代表

パーソナルトレーナー歴11年|元三笠宮寛仁親王殿下のパーソナルトレーナーであった魚住廣信名誉教授に師事|指導経歴:宝塚歌劇団員・三菱重工神戸野球部員・ボクシングミニマム級5位など|アスリートフードマイスター&元板前。

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オリンピックも終板に差し掛かりましたが、これまでの日本選手の活躍や各種競技を見ていろいろ感じたことを書いてみたいと思います。

 

オリンピックを見て感じたこと

まず水泳ですが、メダル獲得者が出たとはいえ、全体にはコンディショニング不足、ピークのズレがあったと思います。それは自己記録近くに達しない選手が多くいたことです。新聞などでは、「やはり内弁慶であった」と書かれていましたが、明らかにピーキングがうまくいかなかったように思えます。

ピーキングのズレた状態は、前半はそれなりに行くのですが、最後でエンストしてしまう状態になることです。

メダルを狙える女子の選手にそれが明らかに見られました。4月にピークを持っていったことがやはり大きく影響しています。4月、5月と海外遠征も結果が良かったことは、それなりのレベルは2~2.5ヶ月続くと言うマトヴェーエフ理論そのものです。それから9月までの期間ではうまく調整が出来ないことは明らかでした。

今回の水泳陣の結果は、調整ミスではなく、試合計画、ひいてはピリオダイゼーションの理解不足が考えられます。メダルの数は増えましたが、本来はもっとメダルラッシュが期待できたはずです。アトランタと同じミスを犯しており、進歩していないとしか考えられません。

 

結果を残すために必要なこと

陸上の選手も同じことが言えますが、陸上の場合は女子のマラソンを除いてほとんどが予選通過レベルの選手が出ており、最終目標が決勝に残るような状況です。その中で自己記録に遠く及ばずに敗退する現実は何をもの語っているのでしょうか。オリンピックと言う舞台は、「特別なもの」、「異常なもの」であり、「魔物がいる」とは正しく的を得た言葉だと思います。

その中で自分の力を100%発揮しなければ目標の突破はありえません。世界を制するものは、女子マラソンの高橋選手を含め、何かが違います。その違いの1つは、その選手が持つ目標の高さ・レベルと確固たる自信だと思います。常に世界記録レベルの目標を持って一段ずつ階段を上がっていく努力の積み重ねが必要なのです。

それも長い目で見なければいけません。そのような考え方と精神的に人並みはずれたものを持っていなければ、オリンピックと言う舞台では力を出せないのでしょう。

今回のオリンピックを見て感じることは、マトヴェーエフが「実験室のデータは役に立たない。オリンピックや世界選手権の舞台と同じデータが得られるはずはない。そこに危険性がある。」と言いました。正しくそのとおりです。どれだけ現場となる競技や大会での結果を分析し、当然個人の特性も分析して、試合に望めるか、それが結果につながるわけです。

超人にも超人といわれるまでに時間も段階もあり、けっしてすぐに超人になるわけではありません。1つ1つ、step by stepの重要性を再認識しました。日本人的には「地道な努力」が必要だと言うことです。

その中でもう一度確認したいことは、地道な努力でその競技に見合った身体づくりと体型づくりをすると言うことです。日本のスプリンターはもっとハムストリングスと殿筋が目立つような体型にならないものかといつも思います。大腿四頭筋を鍛えて、ハムストリングスを使って走っているような状況になっていないかでしょうか。

水泳選手では、外国選手の水中でのプルの強さとパワフルさがしっかり見て取れました。主要な筋肉の理解とその強化方法、そしてその到達レベルの理解が必要になると言うことです。

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